我慢しながらの倹約は、なかなか長く続かない。でも自分の好きなものにとことん責任を持つことなら続けてゆける。だからものを手に入れるとき、一生をかけてそのものと添い遂げられるか、愛していけるか、真剣に自分の心に問います。でも、手っ取り早く手に入らないものもあるし、それなりの値段もする。しかしよく考えてみれば、明日あさっての目先の結果ではなくて、はるかなまなざしで未来へ誇り伝えたいものを求めるなら、手入れしながら孫子の代までずっと使ってゆける。日割り計算したら超お買い得かもしれない。箸でもお椀でも服でも、いい素材のホンモノは決して裏切らないからうれしい。

ずっと伝承されてゆくいいものには、先人の知恵が詰まってますよね。例えば、素材を呼吸させながら生かし続ける知恵。滞らない空気や水が清らかなように、大きな自然の一部として、孤立せずエネルギーを行き交わせることですよね。

でもちょっと急がないと、美しいものはどんどん消えゆく現実です。私たちの「知ろうとしない」という無知が、そのスピードに拍車をかけています。『LISTEN.』でさまざまな地を訪れては、「間に合ってよかった」という思いに駆られます。経済重視のスピードの中では、うかうかしていると、かけがえのないものが続々と消えゆくかもしれないことを肝に銘じて、ちょっと急いで本気で取りかかっています。
それぞれがその責任を楽しみながら、楽しい一歩を踏み出すときがきていると思います。wpid-wp-1412009041492.jpg